葬式
お通夜を含め葬式はいらない、戒名はいらないと考えている方が増えているようです。「費用や労力の面で家族に迷惑をかけたくない」「宗教的な意味合いにあまり価値を感じない」が主な理由です。費用や家族への配慮も大切ですが、自身が死後の世界をどのように考えるか、納得したうえで決めることが重要です。また、のちのち家族にわだかまりが残らないよう、家族の希望も考慮する必要があります。
葬式は、葬儀と告別式の二つの意味があります。
葬儀は、死者の魂に対する儀礼です。「肉体は滅びても、魂は残る」との考えが前提にあります。その魂は、どこへ行き、どうなるかは、宗教、宗派によって教義が異なります。魂の安らぎを願う儀式である葬儀の方法も、宗教、宗派の教義によります。
一方、「魂は残らない、死んだら無」という考え方があり、宗教者を呼ばない「宗教色のない葬儀」という選択もあります。しかし、「亡くなった親兄弟が、自分を見守ってくれている」のように、日常生活の中で死者の魂を感じることがあると思います。そのような故人とのつながりまで無にして良いのかとの疑問は生じます。
死後の世界を語れるのは宗教者だけです。誰も生きている間に確認するすべはありません。信じるか、信じないかです。どちらにしても、死後の世界観を深めることは、終活の大きなテーマです。
告別式は、故人と家族、社会とのお別れの儀式です。
故人の生前の人間関係により、規模、内容を検討します。
葬儀の宗教色が薄れると、葬儀と告別式の意味合いは類似してきます。
また、「立派な葬式」より「こころのこもった葬式」をということで、最近では以下のような葬式が注目されています。
家族葬 | 知人、友人の参列はご遠慮願い、家族、親族だけで葬儀、 告別式を行う方法を「家族葬」と言います。 家族、親族だけで葬儀を行い、のちに知人、友人が参列し 本葬を行う「密葬」と区別されます。 また、家族葬のあと、「お別れ会」を催す場合もあります。 知人、友人も参列するが、単に規模の小さな葬儀、告別式を 「家族葬」と呼んでいる場合もありますので要注意です。 |
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一日葬 | 通夜、葬儀、告別式を一日で行います。 |
直葬 | 近親者のみで、故人とのお別れの時間を過ごした後、 葬儀は行わず火葬します。東京では3割に達しているとの話もあります。 |
生前葬 | 生前に、知人、友人を招き、自ら感謝の気持ちを伝えます。 |
どのような葬儀が良いか、いくつかの葬儀社のプランを比較検討し見積を取っておきます。
お墓
現在、わが国では、遺体の99.9%が火葬されます。
火葬のあと、遺骨が残ります。遺骨は、どうなることを望みますか。
まず、お墓に入りたいか、入りたくないかの選択です。
お墓に入りたくない場合は、散骨、手元供養または骨仏になるという選択があります。
「ごみとして捨ててくれ」と言われると困ります。
散骨 | 遺骨を粉末状にして、海や山に撒きます。ロケットで宇宙に撒くものもあります。 遺骨を勝手に埋たり、棄てると罪に問われますが、骨を撒く=散骨を定めた法律は ありません。散骨への関心が高まり、厚生省(現厚生労働省)が、「散骨は墓埋法の 規制の対象外である」、法務省が、「節度を持って行う分には違法とならない」 という見解を出しました。それを根拠に現在散骨が実施されています。 ただし、「節度を持って」の解釈をめぐり、トラブルにならないよう、十分注意が必要です。 長沼町や岩見沢市のように、条例により、散骨に厳しい条件をつけている自治体もあります。 |
手元供養 | 骨壺のまま、自宅に安置しても問題ありません。 お骨から人工ダイヤモンドを作る、あるいはパウダー状にしてペンダントや 指輪などのアクセサリーにする方法もあります。大部分は散骨し、 一部を手元に残すという選択もあります。ただし、最終的な処置方法は、 考えておかなければいけません。 |
骨仏 | 一般から広く受け入れた遺骨を粉末状にし、仏像を製作しているお寺があります。 大阪の一心寺が有名です。遺骨が仏像に形を変え、僧侶による供養が続きます。 |
安らかに眠る場所としてお墓に入りたい場合、お墓選びのポイントは、お墓の管理をする人
が、代々続くことを前提とするか/しないか、誰と入りたいか/入りたくないかです。
お墓には、遺骨を埋蔵する土地=墓地と墓石など墓標の部分があります。墓地は、土地そのものではなく、土地を使用する権利を取得します。そこに遺骨が埋蔵されている標しとして、石などの墓標を建てます。一般的に、墓地の使用は、お墓を管理する人が代々承継されていくことが前提条件になっています。管理する人がなく放置されたお墓は、無縁墓と呼ばれ、使用権が消滅します。無縁墓の遺骨は、一定の手続きを経たのち、墓地管理者の権限で合祀墓へ移されます。墓石は撤去され、整地されます。昔から「誰からも供養されることのない無縁になった霊は、あの世で大変苦しい思いをする」という教えがあり、「それは何とか避けたい」と思うわけです。先祖代々の墓などに入る場合、承継者の心配がなければ、問題はありません。一方で、お墓の後継ぎがいない、子供や孫に墓守りの負担はかけたくないという人の間で、「後継ぎがいなくても、無縁にならない」永代供養墓への関心が高くなっています。
寺院、民間霊園、公共霊園が様々な特長を打ち出した永代供養墓を提供しています。
永代供養墓 |
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永代供養墓には合祀墓(集合墓とも言われます)と個別墓があります。
合祀墓は、ほかの人の遺骨と一緒に埋葬されます。
合祀墓は、個別墓に比べ安価です。しかし、一度合祀されると後から取り出すことはで
きません。見ず知らずの他人の遺骨と一緒になることに抵抗がある人には不向きです。
亡くなった後しばらくは個別に安置し、一定期間経過後合祀墓へ移すという形式もありま
す。移される時期は、三回忌から五十回忌の後など、お寺や霊園によってさまざまです。
桜やつつじなどの樹木をモニュメントにする合祀墓は樹木葬と言われ、自然志向から人気
があります。
個別墓は、一人用、夫婦用、家族用などがあります。事実婚の相手、友人、ペットと一緒に
入るお墓もあります。承継を前提としていないため、誰と一緒にお墓に入るか、家族や血縁に縛られない選択が可能になって来ました。個性的な墓石が多いのも特徴です。
また、樹木葬も人気です。ずっと個別墓のタイプと上述の通り、一定期間経過後は合祀されるタイプがあります。
永代供養の個別墓と同じ趣旨で、屋内で骨壺ごと安置する納骨堂もあります。納骨堂は、交通の便が良い街中に建てられ、雨や雪の日もお参りしやすいという利点があります。個別墓と同じように、一定期間経過後、遺骨が合祀墓へ移されるタイプのものもあります。
お墓の引っ越し=改葬、墓じまい
すでにお墓がある場合、そのお墓の承継が気がかりです。
これまでは、家を単位にお墓が建てられて来ました。家墓です。先祖代々の墓は長男が継ぎ、次男以降は、独立して一家の墓を建てるという慣習が長らく続きました。就職などで故郷を離れて暮らしている、高齢でお参りに行けないなどの理由から、自身の入るお墓の検討とともに、家墓も自分の代で区切りをつけようと考える人が増えています。
それが、改葬、墓じまいです。
例えば、「故郷の菩提寺にあるお墓から先祖の遺骨を取り出し、自分の生活圏内の永代供養墓へ移す」といった場合、故郷のお墓を菩提寺に返還することを、「墓じまい」と言い、遺骨の取り出しから永代供養墓へ移す一連の過程を「改葬」と言います。墓じまいは、改葬の過程の一部です。
改葬は、わかりやすく「お墓の引っ越し」と呼ばれますが、本質は「遺骨の引っ越し」です。
改葬の手続きは、大きく1.新しい墓地、納骨堂などの選定 2.現在の菩提寺などへの相談 3.現在のお墓のある市区町村への改葬許可申請 4.魂抜き、魂入れなどの宗教儀式の4つがあります。
移転先は、墓地、納骨堂のほか、自宅でもかまいません。散骨は、要注意です。遺骨の引っ越し先が「ない」と判断され、遺骨の取り出しが許可されない場合や、散骨が、そもそも法定されていないため、許可申請の「対象外」とするなど、自治体により対応が異なります。許可されない場合は、しばらく自宅で供養したのちに散骨するなどの方法を検討します。
菩提寺の住職へは、早めに相談します。誠意をもって事情を説明します。いきなり金銭解決を提示したり、こちらの権利を一方的に主張することは控えたほうが良いでしょう。それでも、なかなか応じてもらえない、高額の離檀料を請求されたという場合は、第三者の協力を求めることが必要です。
いきいき終活テラスでは
お葬式、お墓に関し情報収集のお手伝いをします。中立的な立場で、アドバイスします。死後事務委任契約を締結していただき、希望のお葬式、埋葬を執行することも可能です。
改葬については、行政手続きの代行、現地立ち合いなどをいたします。
死後事務委任契約書作成 | 5万円(税別) |
葬儀、埋葬受任 | 内容により別途見積いたします |
改葬許可申請書作成 | 2万円(税別) |
改葬現地立ち合い | 1日 2万5千円(税別) |